私は高校生のとき、夏休みを利用してほんの1ヶ月間、カナダでの語学研修に参加した。

研修はとあるカレッジで行われたので、ちょうど夏季休暇中で利用されていない学生寮の1室に宿泊した。

たった1ヶ月とはいえ、こんなに長い間家族と離れて過ごすのは初めてだった。

そして自分がいかに世間を知らない箱入り娘で育っているかを思い知ることにもなった。

肝心の語学習得の方は、残念なことにお粗末な結果になった、ほろ苦い思い出である。


学生寮はコテージのような白い2階建ての建物で、キッチンは無いけれども小さなかわいい家のよう。

家の中にはベッドと低い棚だけが置かれた狭い個室が4つと、共同利用のトイレに洗面所、バスルームが1つある。

西洋芝生が敷き詰められた広い敷地内には同じような家があちこちに点在していた。

家々の白い壁が芝生や木々の緑に映えて、外国の風景らしく綺麗だった。

学生寮と言われて思い浮かべる、いわゆる日本の寮とは一線を画していた。


幸運なことに、私にはアメリカに住む従姉妹らと英語で会話する機会も何度かあったので、もっと英語で会話がしたかった。

それで語学研修に参加したからには、日本人と離れて色々な出身国の人と机を並べ、英語に囲まれて日常を過ごせると思っていた。

ところが研修への参加者は、軒並み英語などほとんど話せない日本とメキシコのお金持ちの子弟たち。

英語で話そうとする人などほとんどおらず、内気な私は学生寮の部屋で寂しくなって泣いた。

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